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クリエイターズ・ファイル75:美術作家 稲垣智子

身体、映像と インスタレーションを駆使して 日本社会を映し出す美術作家。

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実物のケーキのインスタレーションと、口紅一本を舐めとるパフォーマンス。

 2013年2月、京都芸術センターで、いっぷう変わった展示が行われた。同センターには南北二つのギャラリーが設けられているが、このうちギャラリー南に入ると最初に目に飛び込んでくるのは、実物のお菓子をずらりと並べたインスタレーションなのだ。

 「ケーキは京都製菓技術専門学校にお願いして作っていただいたもので、まったくの本物です。でも会期中に傷むことがないよう、食品添加物が入ってるんですよ。いちおう添加物の量は、国の基準値を下回るようにはしてあるんですが、やっぱり食べたくはないですよね。会期末近くなってもカビが生えたり傷んだりしないんですが、それが逆に怖いような気がします」


 こう説明するのは美術作家の稲垣智子さん。《最後のデザート》(2002)と題されたこの作品は、背後の映像作品とペアで一つの作品になっている。映像はいっけん男女がキスをしているところのように見えるが、実は女性の口紅を男性が舐めとっている場面だ。

 「口紅も本物の口紅ですが、もともと口紅というのはいちおう、口に入っても大丈夫なように作ってあるそうです。けれども、この映像ではまるまる一本分を男性が舐めてしまう。まるまる一本を舐めたら人体にどういう影響があるかはわからないんですけれど」

 いずれも見た目はラブリーでキュートだが、その実は女性の好む「食」や「美」に秘められた危うさが覗く。スクリーンの背後に回ると、裏面には《間-あいだ》(2011)と題された作品が映写されている。瓜二つの女性が二人、向かい合って口論する映像だ。

 「二人の女性は全然違う人物と思う人もいれば、CGで同一人物を合成したと思う人もいるようですが、本当の双子なんです。二人は『みさちゃん』という人について論争してるんですが、『みさちゃん』は二人の名前であるようにも、第三者の名前のようにも思えるようにしてあります。二人の論争はだんだんエスカレートして、最後はビンタの応酬になるんですよ」

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プロフィール

美術作家

稲垣智子(Inagaki Tomoko)

美術作家。映像やインスタレーションなどを駆使して、身体や消費社会にまつわる作品を手掛ける。英ミドルセックス大学美術学部に在学中より、英国、オランダなどでグループ展参加。2001年、同大卒業。2002年、初個展「Dream Island」(CAS、大阪)開催。以降は東京、京都、大阪、ウイーン、NY、アンギャン=レ=バン(仏)など個展多数。KAVC(神戸)、CCA(北九州)、水戸芸術センター、文化村ギャラリー(東京)、世界文化ハウス(ベルリン)などグループ展への参加も多い。2002年、資生堂の作家支援プログラム「ADSP」獲得。2006〜2007年にアンギャン=レ=バンにて、2008〜2009年にハンブルグ(独)にて滞在制作。2011年より大阪在住、府内三カ所にて「アート力芸術教室」を運営。

公式サイト

作品

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クリエイターズ・チョイス

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