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美術作家 中山玲佳

『星の王子様』に出てくる「うわばみ」を象った、おじさんの作品。

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「うわばみ」の作品に秘められた、夢と無意識と偶然の物語。

 中山さんが大事にするのは、大阪芸大に通っていたおじさんから貰った立体作品だ。サン・テクジュペリの小説『星の王子様』に出てくる「うわばみの絵」を象ったレリーフである。

 「小学校入るか入らないぐらいの頃におじさんにもらったんですけれど、このおじさんとの出会いがなかったら、絵を描いてはなかったと思います。3歳くらいだったかな、おじさんの制作展みたいなので大芸に行った覚えがあるんです。おじさんの部屋に行ったらいつも油絵の匂いがしてて、私にも少し描かしてもらったりとか。当時おばさんも本屋さんに勤めてて、おばさんの部屋に行ったら本がバーッとあったり。良い環境でした。『うわばみ』はどんなキャラクターやったかな。半分夢みたいな存在やったかな」

 実はこの「うわばみ」は、語り手である飛行機の操縦士が、子どもの頃に大人に描いてみせた絵だ。少年時代の操縦士は、大人たちにこの絵を見せて怖がらせようとするが、大人たちにはこれが帽子の絵に見える。そこで少年は「この絵は象を飲み込んだうわばみなんだ」と、その中身を描いて説明する。ところが大人たちは怖がるどころか「くだらない絵なんか描いてないで、もっと役に立つ勉強をしなさい」という。それから少年は地理や文法や機械の勉強をして、飛行機の操縦士になっていくのだ。そうして大人になった操縦士が砂漠に不時着して出会ったのが、星の王子様だったのである。

 「その後はおじさんは絵はお辞めになって、静岡で普通に建築関係の仕事に就かれたんですけれども、私がいろんなところで展覧会をするようになって、静岡から大阪まで見に来てくれたんです。しかもいつもこっそり見に来てくれてて、名前も書かずに帰って行ってて。去年@kcuaで展覧会をしたとき初日に来てくれて『うわー! なんでいんの!』『いっつも見に来てんで』『嘘やん!』って(笑)」

 『星の王子様』に出てくる「うわばみ」の絵は、大人の常識によって抑圧された、子ども時代の夢や希望の象徴だ。それと同時に「うわばみ」の絵は、「常識では理解できない絵画」の象徴でもある。中山さんはそれを無意識におじさんからもらいうけ、何十年も大切にして、その夢を現実にしてしまったのである。

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プロフィール

美術作家

中山玲佳(Nakayama Reika)

1974年生まれ、大阪府出身。2000年に京都市立芸術大学大学院を修了したのち、京都市立芸術大学で非常勤。2002年、フランス、パリのCITE International des Artesに滞在。2003年、ラテンアメリカ協会、日墨交流計画の研究生としてメキシコに滞在し、この間2度の個展を開催。2005年にメキシコ政府の奨学金を得て、メキシコ国立自治大学大学院終了。帰国後、MORI YU GALLERY (京都)にて国内での初個展「Dormir−眠」開催。以後、京都と東京を中心に個展を重ねる。2010年、国立国際美術館(大阪)でのグループ展「絵画の庭-ゼロ年代0日本の地平から」に参加。2011年、VOCA賞受賞。国立国際美術館と第一生命保険株式会社に作品がコレクションされている。

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作品

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メキシコ的マジック・リアリズムの画家。 クリエイターズ・ファイル73:美術作家