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クリエイターズ・チョイス59:金魚の不思議さを描く美術作家 深堀隆介

透明な樹脂に金魚を封じ込めて描き、世界で大人気の美術作家。

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現代社会を飛び交う言葉を、流れる滝のようにしたためた書を展示。

 マスのなかに一匹の金魚がいる。動いていないので剥製か、それとも樹脂かなにかで作った立体を封じ込めたのかな、と思う。ところが実はこの金魚、絵なのである。マスのなかに高透明のエポキシ樹脂を流し込み、その上に金魚の絵を描いて、さらに透明樹脂を流し込む手法。金魚の描写が圧倒的に巧いので、あたかも立体の金魚を封じ込めたように見える。作者の深堀隆介さんは、横浜市在住の美術作家。2002年にこの技法を編み出し、以来、ずっとこの技法で制作を続けている。

 「熱帯魚は描かないんですかとか、いろんな魚を描いてはどうかとよく言われるのですが、自分には金魚以外にない。生き物なのに人工物という妖しさ、美しさ。自分にとって金魚はもうモチーフじゃなく、言語なんです。だから金魚以外にないんです。金魚の絵を描き始めてから12年、樹脂の方法を編み出してからもう10年。それまでは作風がバラバラで、個展のたびに違うものを出していたんですが、金魚と出会ってようやく自分が打ち込めるものが見つかった。なので、そのときの体験を『金魚救い』と呼んでいるんです」

 深堀さんが「金魚救い」を体験したのは2000年のこと。自宅で何気なく飼っていた金魚を見ていて、突然その美しさに開眼した。決して大切に飼っていたわけではない。フンだらけで水は濁り、それでも20センチほどになっていた金魚を、あるときたまたま真上から眺め、その不思議さに驚いた。水槽の横から見ると普通の魚として見えるのに、水面には水の屈折の原理で、ぺたんと平面に押しつぶされたような金魚が見える。立体なのに平面的、平面的なのに実は立体。その不思議さに驚いたのだ。

 「それまではずっと水槽を横から見ていて、何の驚きも感じなかった。なのに、ある日上から水槽を覗き込んだとき、金魚がまるで二次元的に、絵画のように見えることに驚いたんですね。金魚と見る人との間に水面という媒体があることで、本来立体である物体が圧縮されて、フラットな平面に見えてしまう。その頃、美術作家の村上隆さんが『スーパーフラット』という概念を唱えていたんですが、それに近いものが金魚の見え方にあると感じたんです」

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プロフィール

金魚の不思議さを描く美術作家

深堀隆介 ( Fukahori Riusuke )

1973年、愛知県生まれ。1995年、愛知県立芸術大学美術学部デザイン専攻学科卒。卒業後はフリーランスを経たのちディスプレイ会社に勤務。1999年に退職後、制作活動開始。2000年、スランプ時に金魚の魅力に開眼。2002年、器の中に樹脂を流し込み、その上に直接金魚を描く技法を編み出し、作品を発表。2005年以降、個展開催多数。2008年以降は中国、台湾、ドイツ、ベルギーなどで個展、フェア参加多数。浜田市世界こども美術館、江戸川アートミュージアム(EKAM)などに作品収蔵。第9回岡本太郎現代芸術大賞展2006入選ほか受賞歴多数。

公式サイト

作品

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クリエイターズ・チョイス

丁寧な仕立てに魅せられて クリエイターズ・チョイス59:シルク製の金魚柄アロハ。