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クリエイターズ・チョイス55:ポスト3・11の希望を考える美術作家 ヤノベケンジ

未来の廃墟、そして希望をテーマに制作を続ける美術作家。

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核時代の不安から、核時代の希望へ。希望を担うキャラクター「トらやん」誕生。

 第五福竜丸を襲った水爆実験の死の灰。その悲劇を描いた岡本太郎さん作の壁画《明日の神話》は、もともとメキシコのホテルのために制作されたものだったが、仮設置後に依頼主の経済的な状況が悪化したため放置され、そのまま行方不明になっていた。その壁画が30数年ぶりに、しかもヤノベさんの総決算ともいうべき展覧会の真っ最中に発見されたのだ。その後《明日の神話》はヤノベさん始め多くの人々の協力を得て修復が進められ、JR渋谷駅に恒久設置されることになる。

 「それと『メガロマニア』展には第五福竜丸展示館の館長さんもいらっしゃって、展覧会をしないかというお誘いを頂いたんです。チェルノブイリをテーマに活動をしている美術作家が第五福竜丸の横に作品を展示することで、何か次の世代に伝えられるメッセージを送れるんじゃないかと」

 このときはいったん準備不足を理由に断ったヤノベさんだったが、翌2004年、ヤノベさんは第五福竜丸の横に置くことのできる作品を完成させる。森美術館のオープンの際にオファーを受けて、当初はなかば冗談のような思いつきから作った作品《森の映画館》だ。

 「この作品は子ども向けの核シェルターを想像して作ったもので、いっけん木の小屋に見えるけど、実は鉄板に囲まれている。なかでは僕の父親が『トらやん』という腹話術人形を持って、自分の孫、つまり僕の子どもに、核戦争後に生きていく術を教える映画を上映しているんです。それまでは『自分の命を守る』というテーマで作っていたのが、親から子へ、子から孫へメッセージを伝えていくという構造の作品を作れた。この作品だったら第五福竜丸の横に置いても良いんじゃないかと思えたんです」

 この頃誕生したキャラクター「トらやん」は、あるときは腹話術人形サイズのフィギュアとして、あるときは全長7メートルの巨大なロボットとして登場。特に後者の《ジャイアント・トらやん》は、子どもの命令だけを聞いて火を噴くロボットとして制作され、各地で人気を博すことになる。核の不安を告発する作品から子どもたちに希望を与える作品へと、次第にヤノベさんは舵を切って行ったのだ。

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プロフィール

ポスト3・11の希望を考える美術作家

ヤノベケンジ ( Yanobe Kenji )

1965年大阪府生まれ。京都市立芸術大学大学院在学中の1990年、生理食塩水を入れたタンクの中へ浸かって鑑賞する《タンキング・マシーン》で注目を浴びる。1990年代後半、ガイガーカウンター付き放射能感知服を着てチェルノブイリなどを訪ねる「アトムスーツプロジェクト」を発表。以降、子どもの命令しか聞かない高さ約7mのロボット《ジャイアント・トらやん》や、稲妻状の放電をする巨大球体《黒い太陽》、第五福竜丸をモチーフにした《ラッキードラゴン》など話題作を次々に発表し、注目を集め続けている。

公式サイト

作品

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クリエイターズ・チョイス

子どもに大人気のキャラクター クリエイターズ・チョイス55:「トらやん」の誕生秘話。 ヤノベケンジ