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クリエイターズ・チョイス55:ポスト3・11の希望を考える美術作家 ヤノベケンジ

未来の廃墟、そして希望をテーマに制作を続ける美術作家。

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万博と原子力と廃墟のイメージ、その間を結ぶ様々な奇縁。

 いま日本の美術作家でもっともその動向に注目が集まっているのは、ヤノベケンジさんかもしれない。ヤノベさんは早くから、ガイガーカウンターを使った放射能感知服の作品を発表。原発事故の起こったチェルノブイリを訪ねるパフォーマンスなどでも知られている。原発事故による放射能汚染が広がる現在、ヤノベさんは何を考え、どう行動しようとしているのだろうか。

 「もともと僕の出発点は大阪万博。子どもの頃に大阪万博の会場が廃墟になったのを見て、何か未来の廃墟のようなものを作ろうというのがテーマにあって。チェルノブイリへの訪問も《太陽の塔》をテーマにした作品も、いろんなものが自分の中では重なりあっているんです」

 大阪万博と原子力、そしてヤノベさんの作品の間は、実にさまざまな奇縁で結ばれている。大阪万博のモニュメントである《太陽の塔》を手掛けた美術作家の岡本太郎さんには《明日の神話》と題された作品がある。米国の水爆実験による死の灰を浴びたマグロ漁船「第五福竜丸」の事件をテーマにした巨大な壁画で、《太陽の塔》と同じ1970年に制作されたものだ。

 「太郎さんは明言していないけど、《太陽の塔》の『太陽』っていう言葉にも『原子のエネルギー』という意味があったんじゃないかと思うんです。そもそも万博の会場は、未来の灯である原発の電気をいち早く導入しようということで、福井の原発発電所を作ったという経緯もあるんですね。もう一つ付け加えれば、僕が訪れたチェルノブイリのプリピャチという街は、原発のために作られた5万人ほどの人工都市なんですが、そこが建造されたのも万博と同じ1970年なんですよ」

 原子力との強い因縁で結ばれた大阪万博だが、ヤノベさんは実は会期中の万博の記憶がほとんどないのだという。原子力で動く未来都市をイメージして作られた万博が終了し、廃墟となった会場で遊んだ記憶、それがヤノベさんの出発点だ。原子のエネルギーで動く街が廃墟になったイメージに、ヤノベさんは40年以上も前から取り憑かれていたのである。

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プロフィール

ポスト3・11の希望を考える美術作家

ヤノベケンジ ( Yanobe Kenji )

1965年大阪府生まれ。京都市立芸術大学大学院在学中の1990年、生理食塩水を入れたタンクの中へ浸かって鑑賞する《タンキング・マシーン》で注目を浴びる。1990年代後半、ガイガーカウンター付き放射能感知服を着てチェルノブイリなどを訪ねる「アトムスーツプロジェクト」を発表。以降、子どもの命令しか聞かない高さ約7mのロボット《ジャイアント・トらやん》や、稲妻状の放電をする巨大球体《黒い太陽》、第五福竜丸をモチーフにした《ラッキードラゴン》など話題作を次々に発表し、注目を集め続けている。

公式サイト

作品

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クリエイターズ・チョイス

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