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クリエイターズ・チョイス55:ポスト3・11の希望を考える美術作家 ヤノベケンジ

子どもに大人気のキャラクター、「トらやん」の爆笑誕生秘話。

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バーコード禿にチョビ髭の腹話術人形。トらやん登場をめぐるエピソード。

 2004年以降のヤノベさんの作品に、頻繁に登場するキャラクター「トらやん」。実はこのトらやんは、ヤノベさんのお父さんが作ったものだ。定年退職したお父さんが、ある日突然買ってきた腹話術人形が、トらやんのモトになったのである。

 「ある日実家に行ったら父親が『ケンジ、ワシちょっと腹話術始めたんや』って言うんですよ。で、この腹話術がものすごい下手なんですね(笑)。『親父それは腹話術ちゃう、ただのダミ声や』。それで父親もがくっと肩落として『明日人形売りに行』くとか言い出して」

 しばらくのち、息子さんと一緒に再び実家を訪れたヤノベさんに、お父さんは「新しい腹話術人形ができた」と話し、青いトランクを披露する。トランクの周りをぐるぐる回り、トランクをノックしながら「トらやん、トらやん」と呼びかけるお父さん。

 「そのトランクから人形出したら、人形のカツラがバーコード禿のハゲヅラになってて、服も阪神タイガースのユニフォーム。しかも鼻の下にチョビ髭という気持ち悪い状況になってて(笑)。子どももびっくりして泣き出して『親父やめろ、泣いてるやないか』って言うても最後まで芸して。子どもは机の下で怯えてるという、ある種の地獄絵図みたいな状況で(笑)。で、しばらくして『メガロマニア』展をやるときに親父が喜んで電話してきて『ワシにも何かやらしてくれへんか』『親父、アーティストでもなんでもないやないか』『いやワシには一つできることがある』『なんや』『腹話術』(笑)」

 ところがその開幕直前、出品作が一点なくなるというアクシデントが起こる。3歳児用に作られた放射線感知服《ミニ・アトムスーツ》がなくなったのだ。大慌てで探したところ、なんとなくなった《ミニ・アトムスーツ》が、バーコード禿のトらやんに着せられていた。お父さんの仕業である。

 「不思議なことに、それがぴったりなんですね。で、《ミニ・アトムスーツ》を着たトらやんが『メガロマニア』展に登場して、オープニングで腹話術をしたっていうのが始まりで」

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プロフィール

ポスト3・11の希望を考える美術作家

ヤノベケンジ ( Yanobe Kenji )

1965年大阪府生まれ。京都市立芸術大学大学院在学中の1990年、生理食塩水を入れたタンクの中へ浸かって鑑賞する《タンキング・マシーン》で注目を浴びる。1990年代後半、ガイガーカウンター付き放射能感知服を着てチェルノブイリなどを訪ねる「アトムスーツプロジェクト」を発表。以降、子どもの命令しか聞かない高さ約7mのロボット《ジャイアント・トらやん》や、稲妻状の放電をする巨大球体《黒い太陽》、第五福竜丸をモチーフにした《ラッキードラゴン》など話題作を次々に発表し、注目を集め続けている。

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