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クリエイター・ファイル51:「まちづくりそのものをデザイン」コミュニティをデザインするstudio-L代表:山崎亮

過疎地域の潜在的魅力を引き出す、コミュニティ・デザイナー。

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かつては採石業に湧いた瀬戸内の島、家島でのプロジェクトが出発点。

 studio-Lを率いる山崎亮さんは「ランドスケープ・デザイナー」と呼ばれ、庭園や公園などの景観設計を手掛けることが多い。そんな山崎さんの仕事は、公園なら公園の使い方を近隣住民とともに考えるところに最大の特色がある。そうした特徴がもっともトータルに出ているのが、兵庫県姫路市にある家島でのプロジェクト。もともとは山崎さんが講師をしていた先の、学生が取り組んだ課題だった。

 「家島は人口わずか7900人ほどの小さな島で、漁業のほかに採石業を主産業としていました。かつて採石業は活況に湧いて、一時は人口も1万人を数えた。けれども石を大量に必要とする現場が少なくなって、仕事がないという状況になったんです。もともと採石業者は零細企業が多く、ここ10年は倒産も相次いで、人口は7千人台にまで落ち込んでいる。なのに変革を求める動きが鈍かったんです」

 以前に儲かっていた時代の蓄積が過剰なほどあり、自治会の貯蓄残高が数十億円もある。自然、成功体験が頭から消えない。「困っていることはカネで解決すればいい」という声がある一方、逆に「まちづくりなんて儲からない」という人もいた。いずれにせよ住民参加のまちづくりには、ほど遠い状況だ。

 「とはいえ、なかには関心を示す人たちもいらした。10人ばかりのおばちゃんたちです。最初はそのおばちゃんたちと、ワークショップを行うところから始めたんですね。テーマは『もしこの広場に公園を作るとしたら、どんな公園をデザインするか』というものでした」

 架空の公園のデザインなのに、それでも意見が百出して、なかなか話はまとまらなかった。だが、実はこれは架空の公園のデザインという作業を通じて、意見集約のプロセスを体験するという、まちづくりへの準備運動だったのである。こうして経験を積んだチームは、次年度にシンポジウム開催を企画する。同じような問題を抱えた全国の地域からゲストを招き、話を聴いてみようという催しだ。シンポジウムの当日、島内からは約80名の聴衆が集まり、そのうち15名が活動に参加することになった。そしてこのメンバーはさらに翌年、採石業に替わる産業として、観光業の創出を模索し始めるのである。

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プロフィール

コミュニティをデザインするstudio-L代表

山崎亮 ( Yamazaki Ryo )

(株) studio-L代表、ランドスケープデザイナー。1973年、愛知県生まれ。1999年、大阪府立大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了、(株)エス・イー・エヌ環境計画室に入社。2005年独立、studio-Lを設立。公共空間のデザインに携わるとともに、完成した公共空間を使いこなすための「コミュニティデザイン」に携わる。2010年、「第四次海士町総合振興計画 島の幸福論 [海士町をつくる24の提案]」が、グッドデザイン賞を受賞。コミュニティデザインでの受賞は、これが初のケースとなった。

公式サイト

作品

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クリエイターズ・チョイス

モバイルギア片手に、足で歩いて人と会う クリエイターズ・チョイス51:ITと人間的なコミュニケーション studio-L代表 山崎亮