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クリエイター・ファイル40:“森羅万象を五線譜に映す気鋭の作曲家”渡邊崇

森羅万象に耳をすます、アヴァン・クラシカルな作曲道。

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ある日、記憶スイッチのような雨のピアノ曲に出逢う。

1)雨好き、2)広島生まれ、3)ジョギング&散歩好き。今回のクリッピンジャムでご紹介する作曲家・渡邊崇サンと、いまこのテキストを書かせてもらっている私(コピーライター村上美香)との共通点はその3つ。後ろ2つが揃うだけでも嬉しいけど、人と人が出逢ってゆくかなり初期の段階で「雨好き」が判明すると、もう、その時点で有象無象のバックグラウンドを理解してもらえた錯覚になり心を許す。それでも、私の「雨」と、彼の「雨」は覚えている景色や匂いのすべてが違うだろうから「雨のどこが好き?」という話をした。渡邊サンの雨の景色は、少年時代の広島に遡る。大きな道路に面した彼の家は、雨が降ると、愉快な音がした。屋根やトタンに落ちる雨音はもちろんのこと、水しぶきをあげて走る乗用車の音、自転車の音、急ぎ足のだれかの靴音。渡邊少年は、雨の日になるとできる限りはやく家に戻り、できる限りはやく夕食や宿題をすませ、二段ベッドの布団にもぐりこんで目を瞑り、降り続ける雨の音を聴いていたという。

「バラバラ、ザーザー、シトシト。雨はいろんな擬音で現されるけど、よくよく考えたらあれは雨が落ちてきた方の屋根とか窓ガラスの音であって、そもそも雨には音なんてないんですよね。」

「ってことは、雨の音は、ぜんぶ受けて側の記憶なのかな。」

そんな話のなかで、はじめて聞いた彼のオリジナル曲は『Quatation of Rain Dream』(1stアルバム『slider』収録曲)。彼の音楽との出逢いは、大好きな雨をテーマにした記憶スイッチのようなピアノ曲だった。

雨のせいとおかげで、私は渡邊サンの仕事やこれまでの人生を特に聞きもしないまま数年が経ったけど、冬のある日、彼が音楽プロデュースをした短編映画がベルリンの国際映画祭にノミネートされ、「侍のカッコでもして、レッドカーペットを歩いてきますわ」と笑っているので、それはステキなことになったねと思い、ゆっくり作曲家・渡邊崇に耳を澄ませてみることにした。

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プロフィール

作曲家・音楽プロデューサー

渡邊崇(わたなべ・たかし)

1976年広島生まれ。大学を卒業後、大工職人をしながら数々のバンドに籍を置く。突如クラシックや現代音楽の作曲に興味を持ち、27才の時、大阪音楽大学作曲科へ。急ピッチで作曲技術を学びプロデビュー。現在、多数のCM音楽を手がける作曲家である一方、映画音楽、前衛パフォーマンス集団や演劇の音楽プロデュースなどのアーティスト活動も精力的にこなす。07年、そのセンスにベルリンの電子音楽レーベルOnpa)))))が注目、1stアルバム『slider』をリリース。09年、映画『aramaki』使用曲を収録した『soil』をリリース。大阪在住、オーヴァーグラウンドとアンダーグラウンドを行き来する世界クオリティのアヴァン・クラシック音楽家。

公式サイト

作品

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