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クリエイター・ファイル38:“フォトグラムで少女の星座を描く美術作家”三宅砂織

フォトグラムで星座のような少女像を描き、いま注目を集める若手美術作家。

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ドローイングを中心に、多彩な技法で試行錯誤した日々。

大学院修了後の三宅さんは、多彩な技法を模索する日々を続けた。たとえば初期の油彩ドローイングでは、マルレーネ・デュマスを思わせる、曖昧でアンバランスな人体像が描かれる。《シスターズ》(2000)や《デッドボディ》(2001)などの作品がそうだ。

「この頃は痛々しいものに興味があったのかな。単なる画材の色面というよりも、皮膚がざわざわと動くような、視覚的でもあり触覚的でもある、曖昧な画面を作りたかったのかも。人体のポーズに関しても、何をしているのかわからない、多義的なものを描きたかった」

臙脂色の別珍のカンヴァスに、マチ針を刺して描いた《少女》(2002)も、こうした模索時代の作品だ。ピンクのガラスでできたマチ針で、ドットを描いていく手法は、現在のフォトグラム作品とも共通する。愛らしく儚げな少女のイメージも、この頃から出てきたものだ。

「ただし、こういう手法だと、行為としてキマり過ぎているように思えたんですね。それに、これと同時期に、ほぼ同じ手法を使う作家さんがいらした。それで、この手法はやめてしまったんです」

また三宅さんは同じ頃から、アルミニウムの金属板にインクで描いた作品も手がけている。たとえば《散歩》(2002)と題された作品。アルミはリトグラフの版に使われるもので、普通はこれを使って摺ってこそ完成品になる。その途中の状態を、どうしても作品化してみたかったと三宅さんは話す。

「まったく無音の状態でなくとも『静けさ』は表現できますよね。私は平面でも空間を表現できると思って、その方法を探してきたような気がします」

絵の具で皮膚感覚を再現しようとしたドローイングの時代、別珍の布とマチ針の時代、平面であるにもかかわらず「版」としての機能を持つ、リトグラフ素材を使った時代。いずれも平面でありながら、奥行きを秘めた技法ばかりを、三宅さんは試みた。こうした多彩な技法の模索を経て、ついに三宅さんはフォトグラムに辿り着く。印画紙に複数のレイヤーを焼き付けた、まさに奥行きのある平面だった。

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プロフィール

美術作家

三宅砂織(みやけ・さおり)

1975年、岐阜県生まれ。京都市立芸術大学卒業後、英国Royal College of art交換留学。2000年、京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画(版画)専攻修了。2003年ごろより、透明なフィルムにドローイングを描き、印画紙に焼き付けてプリントする「フォトグラム」による作品制作を開始。2008年以降は韓国やスイスなど海外でのグループ展にも活発に参加。2010年3月14日〜3月30日、上野の森美術館で開催される「VOCA展2010」の出品作家として選出され「VOCA賞」を受賞。今後の活動に注目が集まっている。

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作品

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