ページの先頭です

クリエイター・ファイル38:“フォトグラムで少女の星座を描く美術作家”三宅砂織

フォトグラムで星座のような少女像を描き、いま注目を集める若手美術作家。

1 / 2 / 3 / 4

TOP / インタビュー / バックナンバー / CREATOR FILE / 三宅砂織

  • Yahoo!ブックマークに登録

日本画から油画、版画へと進み、英国で「版とは何か」を考える。

「高校は岐阜県立加納高校の美術科で、そこで日本画を学んでいました。その後、京都市立芸術大学では油画基礎に進んだんですが、油彩だとカンヴァスを絵の具で埋め尽くしても、完成したという感じがしなくて、どこで筆を置けばいいのか迷ったんです」

そんなときに三宅さんが巡り会ったのが、版画という存在だった。無限に色を重ねられる油画と違って、版画は版を作り終えてしまえば、いったん制作は終了となる。いつしか三宅さんの関心は、油画から版画に移っていった。だが、そんなとき三宅さんは、英国Royal College of Art(RCA)への、交換留学を経験する。学内の選考を通過した人だけが体験できる、協定校とのプログラムだ。

「京都市芸は山の中にあって、学生は制作のことばかり考えている。ところがRCAは街中にあって、毎週パーティーがあるんです。そこには著名なコレクターやギャラリストが来て、作品を買おうと考えている。学生もアートを『仕事』と考えていて、私が版画をやっていると言うと、不思議そうな顔をするんです」

日本の近代版画では、作家自身による「自画自刻自摺」を掲げ、版画を芸術に高めようとした歴史がある。ところが逆に欧米圏では、作家自身が制作に関わった場合も、版画はあくまで複製品という意識が強い。写真やビデオアートのような、複製可能な作品をアート作品と見なす現在でも、やはり欧米では一点モノのオリジナルを最上位に置く。版画だけ制作してオリジナルを制作しない行為は、不思議なものに映るらしい。

確かに版画はマスプロのための複製技術。だが、同一のイメージが反転されて複製される「版という現象」には、ドローイングとはまた別種の、独自の意味や面白さがある。そう考えた三宅さんは、帰国後、引き続き版画科に所属する。そこには三宅さんと同じように、版そのものの面白さを追求する、異才たちが集っていた。実物の鹿のツノやバナナなどから型を取り、本物そっくりの立体を作り上げる大西伸明さんや、水面の上に像を転写して溶解させる大崎のぶゆきさんといった作家たちだ。だが、ここで受けた様々な刺激が、フォトグラムという技法に結実するには、長い試行錯誤の時期があった。

1 / 2 / 3 / 4

美術作家

三宅砂織(みやけ・さおり)

1975年、岐阜県生まれ。京都市立芸術大学卒業後、英国Royal College of art交換留学。2000年、京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画(版画)専攻修了。2003年ごろより、透明なフィルムにドローイングを描き、印画紙に焼き付けてプリントする「フォトグラム」による作品制作を開始。2008年以降は韓国やスイスなど海外でのグループ展にも活発に参加。2010年3月14日〜3月30日、上野の森美術館で開催される「VOCA展2010」の出品作家として選出され「VOCA賞」を受賞。今後の活動に注目が集まっている。

公式サイト

複眼ギャラリー

作品

※クリックすると大きな画像をご覧いただけます。

  • 作品1
  • 作品2
  • 作品3
  • 作品4
  • 作品5
  • 作品6
  • 作品7
  • 作品8
  • 作品9