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クリエイター・ファイル36:“渦巻くピンクに本質を見る美術作家”西山美なコ

ニット界の伝道師とのコラボで、展示室いっぱいのニット製作品を展開。

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少女文化と性風俗の類似をあぶり出し、注目を浴びた作家デビュー。

当時、日本の美術界は「深遠で難解な表現こそ現代美術だ」という硬直した姿勢を、ようやく抜け出そうとしていた。牽引役となったのは「関西ニューウェーブ」と呼ばれた、美術作家たちの一群。カラフルで自由な表現を試みる、中堅、若手の集団だった。そんな美術界の潮流の中で、西山さんはドギツいピンクに彩られた、子どものオモチャのような作品を発表したのである。

当時のカラフルな関西美術シーンのなかでも、ひときわ目を引く《ザ・ぴんくはうす》は、大学院生の修了制作であるにも関わらず、各種のメディアに取り上げられた。しかも、この作品と相前後して、「オモチャ」や「子ども文化」といったテーマは、美術界全体のキーワードにもなっていく。幾人もの作家が同時多発的に「オモチャ」や「子ども文化」を取り上げたのだ。

プラモデルメーカー、タミヤのロゴマークを作品化した村上隆さんしかり、特撮映画のような機械彫刻を作ったヤノベケンジさんしかり。このほか中原浩大さんは、レゴブロックで巨大な彫刻を作ってみせた。東京勢も関西勢も、互いを煽りあうように、オモチャに、児童文化に着目したのだ。

「中原さんもヤノベ君も、美術館でブロンズや油彩を勉強するより、高度経済成長時代に育った自分たちにとって、もっとリアリティーを感じられる、身近なものを作品にしたいという思いは、おそらく共通していたんじゃないかと思います。私の場合も、そういう自分のアンテナに正直に作った結果でした。いまもし自分が二十代の作家だったら、もっと別なものにリアリティーを感じたかもしれない」

そして翌年、もう一つの問題作を、西山さんは世に問うことになる。当時流行していたテレクラの「ピンクちらし」に似せたポスターを街に設置、画廊の仮設電話に電話させる作品《♡ときめきエリカのテレポンクラブ♡》(1992)である。西山さんはポスターに、少女マンガのようなイラストを、鮮烈なピンク色で描いた。画廊には女性との出会いを期待する電話が、複数かかってきたという。少女向けのオモチャや文具のパッケージのピンクと、性風俗のピンク色。その密かな共通性を、西山さんはあぶり出したのである。

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プロフィール

美術作家

西山美なコ(にしやま・みなこ)

1965年、兵庫県生まれ。美術作家、京都精華大学非常勤講師。京都市立芸術大学卒。大学在学中から活発に個展を開催、大学院の修了制作で、リカちゃんハウスを思わせる等身大のインスタレーション《ザ・ピんくはうす》を発表、注目を集める。以降、国内外での個展、グループ展多数。1997年にはAsian Cultural Councilの助成でニューヨークに6ケ月間滞在、2000年にはカナダで滞在制作。現在は金沢21世紀美術館で、広瀬光治と西山美なコのコラボ展“ニットカフェ・イン・マイルーム”を開催中。(2010年3月22日まで)

作品

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