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クリエイター・ファイル36:“渦巻くピンクに本質を見る美術作家”西山美なコ

ニット界の伝道師とのコラボで、展示室いっぱいのニット製作品を展開。

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「少女性」をモチーフにしてきた作家とニット界の伝道師との出会い。

金沢21世紀美術館の一室に、色とりどりの毛糸でできた、花のようなオブジェが広がる。オブジェの列は渦を巻いて、アラベスク模様のような花柄を描く。中心にはロココ時代の「あずまや」のような、白いパビリオンが建っているが、その表面はニット製の、花のモチーフやフリルで覆われている。《ニットカフェ・イン・マイルーム》(2009〜2010)と題されたこの作品、ロココ庭園にもケーキにも見える。美術作家の西山美なコさんと「ニット界の伝道師」こと、広瀬光治さんのコラボ作品だ。

「ニットを活かしたいと思って、最初は巻貝やサンゴ、ウミウシなどの海中生物がひしめく、海中の森のようなイメージを構想したんですが、その後、近未来とか宮殿とか、いろいろプランを考えた末、庭園という設定に行き着きました。ロココ的な装飾をふんだんにニットで表現して、それがお菓子の中にいるようでもある、そんなお庭になりました。でもロココって『ロカイユ』という言葉から来ていて、海の生物や植物などの自然の形態に想を得た、フリフリの装飾が特色。そういう意味ではぐるっと回って、もとのアイデアに通じるものを作れたのかな、と」

ニットを使った作品は、西山さんにとって初の経験。西山さんがもとになるイメージを描き、広瀬さんが具体的な編み方を考えた。中心部分のパビリオンは、骨格部分を西山さんが、ニットは広瀬さんが制作。周縁部の装飾は、金沢の若者を対象にしたアートプログラムの参加者を核に、数多くの一般鑑賞者も参加できるようにした。制作作業は会期中いっぱい続けられ、2010年3月22日まで装飾は増殖する。プロから一般鑑賞者までが階層状に連なって制作される、見事なコラボレーションである。

今回はニットに挑んだ西山さんだが、学生時代の専門は油画だった。次第に平面から立体へと進み、風船やキューピー人形などのオモチャ類を、作品の素材に選ぶように。そして大学院の修了制作で、彼女は一躍、美術界の注目を浴びる。子どもの頃に遊んだ「リカちゃんハウス」をイメージし、ウレタンマットやビニールの布で、等身大に作り上げた作品《ザ・ピんくはうす》(1991)である。

( 文中写真上4点=提供:樋口ヒロユキ )

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プロフィール

美術作家

西山美なコ(にしやま・みなこ)

1965年、兵庫県生まれ。美術作家、京都精華大学非常勤講師。京都市立芸術大学卒。大学在学中から活発に個展を開催、大学院の修了制作で、リカちゃんハウスを思わせる等身大のインスタレーション《ザ・ピんくはうす》を発表、注目を集める。以降、国内外での個展、グループ展多数。1997年にはAsian Cultural Councilの助成でニューヨークに6ケ月間滞在、2000年にはカナダで滞在制作。現在は金沢21世紀美術館で、広瀬光治と西山美なコのコラボ展“ニットカフェ・イン・マイルーム”を開催中。(2010年3月22日まで)

作品

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