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クリエイター・ファイル31:“エイジングとジェンダーを描く現代美術作家”やなぎみわ

大阪とベネチアで個展を同時開催、美術の五輪で「老い」を問う。

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ベネチアの日本館全体を、老少女歌劇団の黒テントに変える。

いま大阪の国立国際美術館で「やなぎみわ 婆々娘々!(ポーポー・ニャンニャン)」展を開催中のやなぎみわさんは、デビュー以来ほぼ一貫して、女性像をモチーフに作品を制作してきた。半世紀後の自分の姿をモデルに想像してもらい、CGや特殊メイクで描き出す連作写真「マイ・グランドマザーズ」は、そんなやなぎさんの代表作だ。ここ数年は童話をテーマに、老女と少女が出てくる物語を選び出し、その一場面を撮り下ろした連作写真「フェアリー・テール」を手がけている。

「今回、グランドマザーズは全点が揃い踏み、フェアリー・テールはダイジェスト版です。それともう一つ今回は、新作インスタレーションの『Windswept Women』を展示しているんですよ」

実はこの新作は大阪と同時に、いまイタリアのベネチアでも、まったく同一のイメージを描いた作品が展示されている。世界最古、最大級の美術コンクール、ベネチア・ビエンナーレの日本代表に選ばれたため、やなぎさんは現在、大阪とベネチアの2カ所で同時に、個展を開催中なのだ。ベネチアは国別にわかれて優劣を競う、アートの世界のオリンピックだ。今回やなぎさんが出したプランは、高さ四メートルもの巨大なフォトスタンド五つを設置し、新作《Windswept Women》を展示する、というもの。俵屋宗達の風神図のような女神たちが、風に吹かれて乱舞する連作写真である。

「女性の人生には追い風もあるし逆風もある。そのなかで踏ん張って立つこともあるだろうし、風と戯れるように踊ることもあるでしょう。追い風に見えるか逆風に見えるか、見る人によって違う。そんな鑑賞者に委ねられるところの多い、多義的な作品を提示したいと思いました」

老いた女神は若々しい乳房のつけ胸を、若い女神は老いて萎びたつけ胸を着け、互いの乳房を交換して踊る。老いと若さを融合させた「老少女歌劇団」の踊りは、これまでの作品の総決算だ。しかも今回やなぎさんは、日本館全体を巨大な黒テントで覆うプランを提示した。鉄筋コンクリートの日本館を、さらにテントで覆うことで、「老少女歌劇団」の一座が興行する、芝居小屋に見立てたのだ。

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プロフィール

現代美術作家

やなぎみわ(みわ・やなぎ)

1967年、兵庫県神戸市生まれ。美術作家。京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。93年に京都で初個展。以後、96年より海外の展覧会にも活発に参加。エイジングとジェンダーをテーマに制作に取り組む。2005〜2006年度、朝日新聞紙面審議委員、2006年度より神戸芸術工科大学准教授。2009年、東京都写真美術館、国立国際美術館(大阪)にて個展。同年のべネチア・ビエンナーレの日本代表に選出され、日本館で個展を開催。現在、ベネチアと大阪で、同時に個展を開催中。

作品

※クリックすると大きな画像をご覧いただけます。

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