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クリエイター・ファイル29:“波瀾万丈のダンス劇場ディレクター”大谷燠

最先端のダンスの劇場、「Art Theater dB 神戸」オープン。

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三セク破綻のとばっちりから復帰、神戸で新たなスタートを切る。

こうしてTORII HALLでのダンス・イベントを軌道に乗せた大谷さんは、2002年に独立する。NPO法人「DANCE BOX」を立ち上げるとともに、ダンス専門の劇場「Art Theater dB」を、大阪市内にオープンさせたのだ。だが、入居した先が悪かった。大阪市が開業した第三セクターの施設「フェスティバルゲート」、通称フェスゲだったのである。

当時、フェスゲは大阪市による計画の甘さから、アトラクションを次々休止。テナントもその多くが抜け、赤字経営に陥っていた。大谷さんはその起死回生の策として、大阪市に乞われて入居したのである。大阪市との約束では、最低でも10年は続ける約束だったため、舞台装置や改装などに、4千万の費用をかけた。費用はNPO法人「DANCE BOX」が、借金をして賄った。DANCE BOXの活動を理解してくれた人があり、大谷さんたちに貸してくれたのだ。10年で完済の予定だったが、入居からわずか2年でフェスゲは破産状態に。破綻からの打開策も、自助努力ではまったく見出せず、全てを放棄する事態になる。いったんはオリックスの運営となりかけたが、結局オリックスも撤退し、大谷さんは2007年、フェスゲを退去する。改装費用の借金は、いまだに大谷さん側がNPOとして背負ったままだ。

「大阪市の掲げた文化政策は、経済的な展望と投資の感覚が甘かった。こちらは被害者のようなものです」

それから2年。「Art Theater dB 神戸」はオープンした。今度はもともとライブハウスだった場所で、改装費用は低コスト、しかも神戸市の負担だった。この時点で大阪市とは、全然出発点が違う。しかも神戸にはダンスに熱心な学校も多い。徒歩10分ほどの神戸野田高校には、全国大会での優勝経験もあるダンス部があり、さっそく共同での催しの打診があった。また、神戸女学院大学の音楽学部には舞踊専攻があるし、神戸大学の発達科学部でも、身体表現を学ぶ科目が開講されている。

「それと、この地域はアジアとの結びつきが伝統的に強い。こうした結びつきを活かしながら、アジアのダンスとの連携も進めて行きたいですし、地域からのリクエストを受けてダンスを出前する『ダンス・デリバリー』も予定しています。ダンス・ファンはもちろんですが、地域と連携を深めて根付きたい。ごく普通の人や子どもたちにも、ダンスを見てもらいたいんです」

Text : Hiroyuki Higuchi

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プロフィール

ダンス劇場ディレクター

大谷燠(おおたに・いく)

1952年、大阪府生まれ。NPO法人DANCE BOX代表。大学在学中に土方巽(ひじかた・たつみ)の舞踏と出会い、土方の弟子であるビショップ山田率いる「北方舞踏派」の創立に参加。ソロ活動を経て、TORII HALLプロデューサー就任。同ホール退職後、NPO法人DANCE BOXを設立、ダンス専門劇場「Art Theater dB」を開設。同ホール閉鎖に伴い、2009年「Art Theater dB 神戸」オープン。紅玉としてダンス・グループ「千日前青空ダンス倶楽部」の振付・演出を務める。

作品

※クリックすると大きな画像をご覧いただけます。

  • 作品1
  • 作品2
  • 作品3
  • 作品4
  • 作品5
  • 作品6
  • 作品7
  • 作品8
  • 作品9