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クリエイター・ファイル28:“湖国の謎を撮るフォトグラファー”MOTOKO

琵琶湖に中世の芸能を幻視し、現代の農を直視する写真家。

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湖国、滋賀の中世的祝祭を撮る個展、「田園ドリーム The Den-en Dream」。

滋賀県、近江八幡市にある「尾賀商店」は、書や骨董、印章や照明器具など、ショップやカフェ、ギャラリーが、一軒の古民家に集まった複合ショップだ。写真家のMOTOKOさんが個展会場に選んだのは、そんな築200年の商家を改装したこの店だった。展覧会名は、「田園ドリーム The Den-en Dream」。タイトル通り会場内には、農村のさまざまな表情を写し撮った、MOTOKOさんの連作写真が展示されている。いずれも滋賀県内の各所で撮影されたものである。

「滋賀って京都からすぐ近くなのに、とにかくアクセスが悪い場所が多い。だから人にあまり知られていない、面白い祭がいっぱいあるんです。たとえばこの作品は、近江八幡市にある日牟礼八幡宮の、左義長 (さぎちょう) 祭に使われる山車なんですね」

左義長というのは新ワラで編んだ、松明でできた山車である。高さは約3メートルほど、松明の上には竹が立てられ、赤い御幣や薬玉、巾着、扇などで、満艦飾に飾り立てられる。左義長祭ではこの山車の美しさを競うほか、山車をぶつけあって「けんか」をするのも、大きな見せ場の一つである。

もとは織田信長の治める安土城下で行われていた祭で、クライマックスでは左義長に奉火が行われる。また、左義長の担い手は踊子(おどりこ)と呼ばれ、かつては女物の長襦袢を着て化粧をしたらしい。信長の家臣の手になる伝記『信長公記』には、織田信長も女装をまとって、この祭に乱入した、とある。異装、異風の過剰な美を好んだ、いかにも信長好みの祭である。

「左義長の御幣が赤いのも、織田信長が赤を好きだったからなんですね。そんな祭が信長没後、近江八幡に移ってきた。この左義長を筆頭にして、滋賀県には調べてみると、女装の祭が少なくない。日本の伝統というと京都風の、モノトーンでミニマルな美を連想しがちですよね。安藤忠雄の建築やコム・デ・ギャルソンの服も、そうしたミニマリズムの伝統の上にある。けれどもいっぽうで日本には、まるで野外レイブのパーティーのように、極彩色の異装を凝らす、バロック的な伝統もあった。そうした中世的な婆娑羅の美が息づく滋賀の祭を、ここで撮っておきたかったんです」

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プロフィール

フォトグラファー

MOTOKO(もとこ)

1966年、大阪府生まれ。1990年、大阪芸術大学芸術学部美術学科卒業。1992から3年間渡英。帰国1年後、プロフォトグラファーとしてデビュー。『STUDIO VOICE』誌の表紙を飾る。その後、東京に拠点を移し、グラビアアイドルやミュージシャンの撮影を数多く手がけるほか、フジテレビドラマ「白い巨塔」ではエンディングも担当した。写真集に『Day Light』『First Time』『京都 The Old and New Guide of Kyoto』など。

作品

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