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クリエイター・ファイル26:“フォルムの妙で魅せる陶芸作家”伊藤利江

生命の形と息吹を詰め込んだ陶芸のかたち。

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ごちゃごちゃの「群れ」、さりげない「かたち」。そこに宿る「ほっこり感」。

生まれも育ちも大阪のど真ん中。いわば繁華街。島之内にあるアトリエは伊藤さんの実家である。ビルや商店が並び、コワモテのお兄さんもちらほら。少し歩けば心斎橋のショッピング街…そんな環境で育った伊藤さんが生み出す作品は、鳥や花といった自然のモチーフが中心。そのフォルムは、どこから見てもやわらかい曲線でできている。例えば「鳥」。ぷっくりと丸みを帯びた胴体から広がる羽根。持つと手のひらにすんなりなじむ、そんな形をしている。作品だけでなく、伊藤さん自身が醸し出す空気感も「自然体」そのもの。育った環境とのギャップはどこから生まれるのだろうか。

インタビューを行ったのは京都の鴨川沿いにあるカフェ。そこで伊藤さんの展覧会が開かれていた。展覧会という表現は正確ではないかもしれない。作品たちは、そのカフェにもともとあったかのように、とてもさりげなく置かれていた。カフェでお茶を飲みながらふと見ると、陶器の鳥の群れがあって、棚に花瓶が飾られている。ちょっと気になって手にとってみると、あたたかくて不思議な懐かしさを感じさせる。カフェの空間効果もあるが、そこはまるで家のリビングにいるような、ゆるゆるした居心地だった。

「ギャラリーで個展して、わざわざ見に来てもらうという大げさな感じが苦手で…。私の作品も決して大げさなものじゃないので、こういう空間にさりげなく置かれている、というのがいいんです。そのほうが、お茶を飲みに来た多くの人たちにも見てもらえるし」

作品の展示で「鳥の群れ」がいくつかあった。いろんな表情の小さな鳥たちが集まって、ひとつの空間を作っている。伊藤さんは、ひとつで存在感のある大作より、小さなものたちの群れがつくる世界観が好きだという。

「小さい頃、家の棚にごちゃごちゃといろんなものが飾ってあったんです。その、どこか懐かしい、ごちゃごちゃ感が今でも好き。そういう世界を作品で作れたら面白いんじゃないかな…と」

小さい頃住んでいた家は、もともと旅館だった古い木造の家屋だった。中庭には池や灯篭があったという。居間には飾り棚があり、旅行の土産物や、新聞屋さんからもらった記念品、正体不明の置物や人形など、いろんなものが飾られていた。昭和の時代、たぶんどの家にもあったような風景。当時にタイムスリップして、伊藤さんの作品がそんな空間になにげない感じで置かれていても、違和感なくなじんでしまいそうな気がする。

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プロフィール

陶芸作家

伊藤利江(いとう・りえ)

1974年、大阪生まれ。大阪芸術大学大学院 芸術制作研究科修了。1997年にINAXガレリアセラミカ(東京)で個展を開催。以後、東京、京都、大阪、札幌などのギャラリーで個展やグループ展を活動的に行う。2002年には「graf」にてオリジナルブランド「Rie Ito Ceramics」がスタート。2005年「Rie Ito Ceramics:BIRDS」展に続き「Rie Ito Ceramics:Flowers」展を開催。鳥や花をモチーフにした作品が注目を集める。2006年にはタイ・バンコクでグループ展、イタリア・ミラノではミラノサローネに出品。現在、大阪・島之内にあるアトリエで陶芸教室も主宰。

作品

※クリックすると大きな画像をご覧いただけます。

  • 作品1
  • 作品2
  • 作品3
  • 作品4
  • 作品5
  • 作品6
  • 作品7
  • 作品8
  • 作品9
  • 作品10
  • 作品11
  • 作品12
  • 作品13
  • 作品14
  • 作品15

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