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クリエイター・ファイル25:“天・地・人を思う若手左官”久住有生

巨大オブジェで個展も開催、世界を感じて仕事する左官職人。

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イザナギ、イザナミの国生み神話テーマに個展を開く型破りの左官。

和室の畳はめくりあげられ、蟻塚のような土の柱がそびえ立っていた。中心には土でできた渦巻きのような穴が、深々と床下まで続く。何か巨大な隕石が和室に激突し、泥を跳ね上げて凝固したようである。実はこの豪快な光景、左官の久住有生(くすみ・なおき)さんの、個展会場の様子である。ふつう左官といえば、日本建築の壁を塗るのが仕事の職人だが、久住さんは時として建築の仕事を離れ、美術作品を作ることがある。和室にしつらえられた土のオブジェは、久住さんの作品なのだ。

「僕らの一番根本にあるのは、壁を平らに、まっすぐにすること。綺麗にならされた平面のなかで、微妙な陰影を出すのが毎日の仕事やけど、それだけじゃ、ね」

渦巻き状の土のオブジェは、国生み神話をかたどったもの。イザナギとイザナミの2神が矛で混沌をかき回して天地を創造したという、日本神話の1コマだ。左官の使う材料は、漆喰と土。大地の始まりの神話を土で表現した作品は、まさに左官にふさわしい。ちなみに国生み神話で最初に生まれたとされる土地は、久住さんの出身地である淡路島。2重の意味で久住さんらしい作品である。

「個展は建築の仕事と違って、思うがままに作れる。それが爆発したんやね。国生み神話で矛先から飛び散った土が、水柱ならぬ土柱を立てる。そのバーン、ドカーン! を作品にした」

床の間は漆黒の漆喰で塗られているが、これも久住さんの作品。ロウ引きでもしたように黒光りしているが、一部分だけが正円状に磨き残され、粗い肌触りのままに仕上げてある。国生み神話の時代にかかっていた、新月をイメージしたものだという。作品はほかに2点。いずれも左官の技術を駆使しているが、建築からは独立した「作品」で、左官の仕事としては型破りである。

「ここのオーナーで華道家の片桐功敦さん(Vol.18登場)とは、以前に写真家の津田直さん(Vol.24登場)と三人でコラボして、BIWAKOビエンナーレに出品したこともある。それで“そろそろ……やるやろ?”みたいな話が片桐さんからあって(笑)。そんなこと言われたらやるしかない」

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プロフィール

左官

久住有生(くすみ・なおき)

1972年、兵庫県淡路島生まれ。父はカリスマ左官として知られる久住章(くすみ・あきら)。三代続く左官の家に生まれ、3歳で初めて鏝を握る。17歳でケーキ職人をめざして渡欧するも、ガウディの建築を目にして左官をめざす。18歳で親元を離れ、さまざまな親方の許で左官を学び、23歳で独立。ドイツ、フランス、京都などで左官技術を磨き、歴史的建造物の修復の仕事に携わる。2006年にはテレビ番組「情熱大陸」(MBS)に出演、若手左官のホープとして紹介される。

作品

※クリックすると大きな画像をご覧いただけます。

  • 作品1
  • 作品2
  • 作品3
  • 作品4
  • 作品5
  • 作品6
  • 作品7
  • 作品8
  • 作品9

クリエイターズ・チョイス

まさに驚異の世界 クリエイターズ・チョイス25「目や手を超えた「鏝の感覚」」