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クリエイター・ファイル24:“見えない時空のつながりを撮る写真家”津田直

地図にない場所から北アフリカまで、自然の彼方に「見えない風景」を撮る。

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学校に通わず自然から学び、大検で進学。卒業と同時に個展開催が決定。

地図にもない無人の土地から、舟でしか行けない奥琵琶湖、北アフリカの彼方の村まで、自然のなかで写真を撮ることの多い津田さんだが、そんな津田さんが生まれた神戸市は、海と山に挟まれた街である。目の前には瀬戸内海が、背後には屏風のように、六甲山脈が果てしなく延びる。そんな六甲山脈のなかの摩耶山(まやさん)が、津田さんの学校だった。山のなかに学校があったのではない。小学校の高学年から学校や行くのをやめ、毎日ひたすら山に通った。山そのものが津田さんの学校だったのである。

「幼稚園くらいから朝起きると、まず山へ行きました。明治生まれの祖父や、祖父の登山仲間の方々と一緒に登って、昔の話や自然の声に耳を傾けたんです。たぶん登山会の最年少記録だったんじゃないでしょうか。さすがに高校くらいになると、このままでは生きていくには問題があるなと自覚した。1年間に猛勉強して大検を受験。中学、高校は飛ばしたままで、大阪芸大の写真学科に進みました」

進学後はそれまでの空白を取り戻すように、大学の授業を貪欲に受け、片っ端から課題も制作した。だが、学校で教えられるままに撮ろうとは思わなかった。どんな課題に取り組む際にも、自分なりのルールを作り、そのルールに従って制作を進めたのだ。

「事実を捉えるのに作り物のライティングをするのは性に合わない。だから絶対に自然光で撮るというルールを決めていましたね。ライティングで撮れという課題が出ても、“ライティングしました”と言い張って、実際はこっそり自然光で撮った。そしてもう一つ自分で決めたルールは、必ず組写真にすることでした」

組写真は同じ時に撮ったものでも、1枚目と2枚目の間にわずかな時間の流れが生じる。そんな時の流れを写し撮ろうとする意識から生まれたのが、組写真のルールだった。だから提出する課題が1枚でも、必ず津田さんは組写真として仕上げ、そのうち1点を選んで提出した。また、写真に限らずどんな講義も取れる限り全部取り、結果的に卒業時には、卒業要件を大幅に超える単位を取得。ギャラリーから個展の話が来たのは、ほぼ卒業と同時だった。通常の人生を早送りして見るかのような学生生活である。

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プロフィール

写真家

津田直(つだ・なお)

写真家。アーティスト。2001年より『遠くの近く』を発表、続く2002年からは『近づく』と題された作品を大阪、東京、横浜で個展を中心に多数発表。自然を捉える視線のユニークさと写真と時間の関係という古くて新しいテーマへの真摯な取り組みで、21世紀の新たな風景表現の潮流を切り開く新進の写真作家として注目されている。湖、山肌、雲霧などの対象物を一見それとはわからない距離やアングルで撮影したその作品は、写真では体験できないものをいかに写し取るかという、写真の限界に挑む試みでもある。また最近では、ギャラリーの外へも活躍の場を拡げ、美術館での企画展への参加も続いている。作品集には「近づく」(HIROMIYOSHII発行)。2007年秋には近年日本家屋にて開催された個展『漕ぎだし』から作品集「漕」を主水書房より出版。2008年は5月 N.Y.での個展をはじめ、11月に資生堂ギャラリーにて個展、Paris Photoへ参加。また最新の作品集「SMOKE LINE」は赤々舍より出版。

作品

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All Courtesy of hiromi yoshii
お問い合わせは  http://www.hiromiyoshii.com/

クリエイターズ・チョイス

写真は言語である クリエイターズ・チョイス24「無数の言葉を記したノート。」