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クリエーター・ファイル13“自らを維新し続ける、前衛劇作家”維新派 主宰 松本雄吉

それにしても松本雄吉は古くならない。自らを維新、し続ける。

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とある台風の夜。私は“維新派”を初体験した。

たぶん、匂いや湿度や触覚や耳鳴りにも似たぞれぞれの記憶の断片に“維新派”は存在するのだろうけど。十年以上も昔、とある台風の夜。大阪南港に特設された巨大な野外劇場のぎゅうぎゅう詰めの客席、足場板になんとか自分の場所だけキープして丸太木の端っこから立ち観た舞台には、白塗りの役者たちが極彩色の衣裳を身につけ、歌でもなくセリフでもない悲鳴のような声を放ちながら踊り、いや踊りでもない。舞、舞でもない。未知なる男や女がうごめいていた。秋の大型台風は野外劇場を支える丸太木を揺らし、役者たちには容赦なく大粒の雨が降りつける。照明を浴びた雨粒がキラキラと闇に光を散らして異様なほどに美しいのだけど、いよいよ客席天上に張られたテントにもうこれ以上雨水を溜められないというその時に、劇作家・松本雄吉はとつぜん客の前に現れた。「お〜い、役者そのまま。すみません。舞台、留めます」・・・矢のような雨の中、突然のストップモーション。たちまち舞台裏のスタッフがどやどやと劇場の屋根にのぼり、天井のテントに溜まった雨をどさっ、どさっと落として回った。何だこれは?何処だここは?ようやく自分の身体がひどく冷えた状態にあることを認識して私は“維新派”を初体験した。調べてみればその舞台は1996年、10月に開催されたヂャンヂャン☆オペラ『ROMANCE』。気がつけばもう10年以上も維新派を観て来たことになるが、松本雄吉はもう40年近くも維新派をやっていることを思えば、まだまだ新参者に過ぎない。たぶん。それぞれにそれぞれの時代の“維新派”を体験し、維新派伝説はさまざまに語り継がれるだろうけど。それにしても松本雄吉は古くならない。20〜30才代の血気盛んな役者たちがまるで漂流者のように“維新派”に流れ着き、流れ行くなか、松本雄吉は今日もビールをあけ、愛猫の喉をなでながら次なる舞台に思いを馳せる。“ものづくり”の衰えや枯渇の恐怖なぞ無縁なのだろうか。

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プロフィール

維新派

主宰/松本雄吉(まつもと・ゆうきち)

劇作家・演出家。大阪教育大学で美術を専攻。1970年に「日本維新派」を立ち上げる。巨大な野外劇場を劇団員自らの手で建設、数ヶ月間、集団生活をしながら舞台を作り上げる特殊なスタイルが特徴。「喋らない台詞、踊らない踊り、歌わない音楽」をコンセプトとした表現スタイルは「ヂャンヂャン☆オペラ」と呼ばれ、その特異なパフォーマンスアートは日本のみならず海外からも注目されている。代表作は、奈良室生村の野球グラウンドを全面使用した『さかしま』、岡山県は瀬戸の離島、銅精錬所跡地内に劇場を建てた『カンカラ』など。同作品は第二回朝日舞台芸術賞を受賞。現在、2008年秋に開催予定の野外劇“びわ湖水上舞台”に取り掛かかる。

作品

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  • 作品1
  • 作品2
  • 作品3
  • 作品4
  • 作品5
  • 作品6
  • 作品7
  • 作品8
  • 作品9

写真提供:福永 幸治 ( スタジオエポック )

クリエーターズ・チョイス

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