ページの先頭です

クリエイター・ファイル11“ロック・スピリットを秘めた空間デザイナー”森井良幸

出発点はRock、ゴールは責任ある街づくり。

 1 / 2 / 3 / 4 

TOP / インタビュー / バックナンバー / CREATOR FILE / 森井良幸

  • Yahoo!ブックマークに登録

個室ダイニングから大箱ダイニングへ、そして建築と街づくりの世界へ。

そして現在。いま森井さんはインテリアデザインの範疇を超え、建築の仕事も手がけはじめている。京都・京阪三条の複合商業施設「KYOUEN」や、京都・四条烏丸のデザイン・マンション「sumau」といった仕事である。建築と内装の違いについて、森井さんの意見は明快だ。

「インテリアは見ようと思って店に入らなければ見えないが、建築は意識しなくても目に入る。学校に行くとき、会社に行くときに、否が応でもその前を通りますからね。それだけに建築は発信への社会的責任が問われる。街の景観になじむもの、美しいものを作らなければダメです」

たとえば京阪三条の鴨川沿いにある「KYOUEN」は、高層化しがちな商業施設を、あえて低層でプランニングしたものだ。京都の町屋を思わせる建築物の中に、枯山水を配した。しかも全体の構造は、鴨川を挟んで対岸にある花街、先斗町の街並みを、鴨川を挟んで反転させたもの。単に和風のモチーフを使って設計しただけでなく、街並みそのものの設計に、森井さんは伝統性や歴史性を持ち込んでみせたのだ。いっぽうコンセプト・マンション「sumau」でも、森井さんは景観になじむ工夫を凝らしている。

「こちらは高層マンションでしたが、町屋の伝統的なサイズで階層を分割して、下層階はコンクリート打ちっ放し、高層部は暗い色調でまとめた。このため夜になると、高層部は闇に紛れて見えなくなる。さいきん京都市では新景観政策を打ち出していますが、その内容はビルに軒先をつけろなどという突飛なもの。洋風のビルに突然軒がついてるなんて気持ち悪いじゃないですか。このマンションは幸い条例の施行前だったので、そんなことをしなくとも景観に馴染むという実例を示したんです」

個室ダイニングから大箱ダイニングやクラブ、そして建築や都市景観そのものへの提言へ。「自分が大きなものを手がけるようになっているのは不動産が動いているから。自分の実力だけではないですよ」と森井さんは謙遜するが、その活動の範囲は明らかに拡がりつつある。テナントビルの一角から、街の景観の一角をなす建築の世界へ。いま森井さんは大きなステップを駆け上がろうとしている。

Text : Hiroyuki Higuchi

前のページへ

 1 / 2 / 3 / 4 

プロフィール

(株)カフェ

空間デザイナー・飲食店経営/森井良幸(もりい・よしゆき)

1967年、京都府生まれ。京都芸術短期大学中退後、設計事務所、内装会社勤務を経て(株)カフェ設立。カフェ経営に携わるとともに、ブティックやクラブ、ダイニングやカフェなどの内装設計を手がける。現在は集合住宅や複合商業施設など、建築物の設計も手がけ、9店舗の飲食店を経営。代表作にクラブ「SAZAE」(大阪・梅田、2004年)、美食ダイニング「米門」(大阪・梅田、2005年)、複合商業施設「KYOUEN」(京都・京阪三条、2003年)など。

作品

※クリックすると大きな画像をご覧いただけます。

  • 作品1
  • 作品2
  • 作品3
  • 作品4
  • 作品5
  • 作品6
  • 作品7
  • 作品8
  • 作品9
  • 作品10
  • 作品11
  • 作品12

クリエイターズ・チョイス

人を育て、社会的責任を考える。 クリエイターズ・チョイス11「色鉛筆と万年筆、そして社会的責任へ。」