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クリエイターズ・チョイス11“ロック・スピリットを秘めた空間デザイナー”森井良幸

色鉛筆と万年筆、そして社会的責任へ。

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みんなと一緒になるのはイヤだけれど、みんなのことを考えてデザインしたい。

森井さんのデザイン・テイストは、和洋中なんでもござれ。テイストを1つに決めてしまったら仕事なんて来ないですよ、と笑う。北欧モダン、アジアンモダンは言うに及ばず、自然の造形からイメージを得ることさえある。ど真ん中にらせん階段を配して、サザエのつぼ状の構造をとったクラブ「SAZA*E」がその例だ。人と同じ手法は使いたくない、みんなと一緒になるのはイヤ。異端でいられる自分が心地良い、と森井さんは話す。

そんな森井さんが手がけた最近の仕事に「Bar Bambi」がある。黒を基調にしたインテリアに、赤い巨大なシャンデリアがぶら下がり、鉄の鎖を張り巡らせてデコレーションされた「Bar Bambi」。これまでに例のないデザインのレストランだけに、どう形容して良いのか非常に迷う。ドラキュラの古城が近未来ふうにリノベーションしたような、とでも言おうか。ゴージャスでスキャンダラス、しかもセレブ感たっぷり。それが「Bar Bambi」のデザインなのだ。けれども面白いことに、「Bar Bambi」のデザインには、どこか和の香りが漂っている。日本的なモチーフは何1つ使っていないのに、どこか日本人的なデザインなのだ。

「使っているのは金属チェーンでも、それが格子状に美しく並んでる。外国人からは、ここまで詰めた間隔で並べるのは、日本人独特のデザインだよね、と言われる。やっぱり日本人が作っているのだから、どこかに日本人が作っている匂いが欲しいですよね」

最近、自分は「大人になった」と、しきりに語る森井さん。日本的なものを漂わせるデザインは「大人になった」現れかもしれない。今後は社会的責任を自覚しながら仕事を進めていきたいという森井さん。みんなと一緒になるのはイヤだけれど、みんなのことを考えながらデザインしたい。そんな気持ちが言葉の端々から伺える。店の流行り廃りを決めるのは、デザインの要素がきわめて大きい。だったら人の役に立つデザインをしたい、とも。

「良いデザインの店で仕事をしたいのに、オクテだったりおカネに疎かったりして、デザインを発注できないオーナーは多い。日本の建築家は内装をあまり考えないし、そもそも人のことを考えたデザインができる人が少ない。今後はおカネがない人にも発注しやすくて、みんながハッピーになる仕事の仕組みを考えたいですね」

Text : Hiroyuki Higuchi

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プロフィール

(株)カフェ

空間デザイナー・飲食店経営/森井良幸(もりい・よしゆき)

1967年、京都府生まれ。京都芸術短期大学中退後、設計事務所、内装会社勤務を経て(株)カフェ設立。カフェ経営に携わるとともに、ブティックやクラブ、ダイニングやカフェなどの内装設計を手がける。現在は集合住宅や複合商業施設など、建築物の設計も手がけ、9店舗の飲食店を経営。代表作にクラブ「SAZAE」(大阪・梅田、2004年)、美食ダイニング「米門」(大阪・梅田、2005年)、複合商業施設「KYOUEN」(京都・京阪三条、2003年)など。

作品

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クリエイター・ファイル

出発点はRock、ゴールは責任ある街づくり。 クリエイター・ファイル11“ロック・スピリットを秘めた空間デザイナー”森井良幸