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クリエイター・ファイル9“「イラストレーター」の仕事を広げた男”佐藤邦雄

イラストレーターの黄金時代を共に創り出した先覚者。

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社長業に安穏とせず、イラストレーターでもトップへ。

看板描きの下働きから最先端のイラストレーターへ転身。しかも日本初のイラスト専門代理店を立ち上げて業界の注目を集めたのだから、人も羨むようなサクセス・ストーリーだ。ところが佐藤さんは社長業に安穏として満足せず、イラストレーターとしての成功も同時にめざす。それまでの軽やかな線画を捨て、スーパーリアルなタッチで動物を描く、独特の画風に挑戦を始めたのだ。
「とにかく『動物描きたいから描かして』っていうのが最初やったから、イラストを始めたときと同じで、線画は仕事で昼にしてて、こっちは夜に描いてた。スーパーリアルで描いたら手間は余分にかかるけど、だからといって予算は増えない。最初はA2サイズにびっしり描いて5万円ぐらいやった(笑)。おカネとかそんなんでやってへんから、いろんな時期があるからね。カネで勘定したらあかん時があるわね、自分のしたいことしたいんやったら」

人間味あふれる動物のユーモラスな仕草を、面相筆1本で極限まで細かく描く。CGどころか画像合成技術も未発達なこの時代、それは単に心温まるイラストであるだけでなく、誰も見たことのない衝撃的な視覚体験だった。佐藤さんのイラストは『YOUNG JUMP』や学研の『2年の科学』など、商業誌の表紙を毎月のように飾り、東京ドームのカレンダーや、月1回発行の徳間書店文庫本キャンペーンのビジュアルにも登場。ぺーター佐藤、永井博、西口司郎とともに大阪の画廊で展覧会を開き、80年代イラストブームの一角を担うまでになっていく。そんな佐藤さんのイラストは、いまでは商業イラストの範疇を超え、もはや「絵画」として愛されている。新聞社主催の展覧会が全国各地で開かれ、ポストカードや複製画として売られるように。直営ギャラリーには遠く地方からのファンが訪れることも珍しくない。

「したいから何でも受けてしまうしね、大変よ結構。最盛期はレギュラーが月4本あってね、ほかにイレギュラーがあるやん? で、とことん描きたい。ラフを描いて先に送っといて、それが決定してる間にこっちの方を仕上げて……。体力の限界までやっとったね(笑)」




Text : Hiroyuki Higuchi

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プロフィール

(有)クニオ イラストレーター

佐藤邦雄(さとう・くにお)

1940年、大阪生まれ。高松、徳島で育つ。高校卒業後、大阪で映画の看板描きに弟子入り。63年、大阪ナンバデザイナー学院に入学。64年、今竹造形美術研究室に勤務。翌年(株)エーシー入社。1年間デザイン部に勤務ののちイラスト部へ移る。76年、イラストレーター集団(株)スプーン設立。動物を擬人化したイラストで知られ、「YOUNG JUMP」や「2年の科学」表紙など代表作多数。NHK「おかあさんといっしょ」ではキャラクターデザイン担当。現在は画業に専念、作品は「Kunio Gallery」(土曜・祝日定休)にて常設展示中。2008年カレンダーを9月25日に発売する。

作品

※クリックすると大きな画像をご覧いただけます。

  • 作品1
  • 作品2
  • 作品3
  • 作品4
  • 作品5
  • 作品6
  • 作品7
  • 作品8
  • 作品9

クリエイターズ・チョイス

大舞台で活躍した佐藤さんを支えたもの。 クリエイターズ・チョイス9「逆境を支えた山本周五郎とネタ帳」