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クリエイター・ファイル3“自らのカオスを見つめるフォトグラファー”野波浩

「ストーリー性なんて考えてない。理屈より感じることが大切やから。」

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善も悪も、美しいも醜いも、全部同じレベルで自分の中にあると思いたいから。

野波さんの作品には、出会った瞬間から、見る人を圧倒させるに十分な世界観がある。その完璧なまでの世界観に、見る人は一瞬にして包まれ、同時に未知の世界に引き込まれる心地よさを経験するのだろう。この作品はいかにして出来たのか、どのようなイマジネーションの元に生まれたのか、そして何を語りかけようとしているのか…作品に対しての純粋な感動の脇で、ふとそんな素朴な疑問が湧いてくるのも、ごく自然な思考だろう。

作品写真1最初に明確なイメージやストーリーがあって、そこを目指しているのか?実際、野波さんは多くの人からこんな質問を受けるのだそう。しかし野波さんは言う。「起承転結みたいなストーリー性を求める人もいるけど、俺はそういうの嫌いなんよ。理屈より、感じることが大切やし、瞬間の感じ方に重きを置きたいと思うから。理屈は偉い人が後から付けたらいい。ストーリーをつけたがる人はなんぼでもいるよ。“これはこうだから、こうなんです!”って。でもそういうの聞いて、逆に俺が“はぁ、そうなんですか”なんて思ったり」。

それにしても、かなり創造的な世界観。この世界観が出来上がるきっかけとなったものは、きっとあったはずだ。「〈カオス〉ってあるでしょ。基本的にはそれなんよ、俺。何でかって言ったら〈カオス〉って訳したら、“人類創生以前の混沌とした”っていう意味でしょ。人間の理性が出来る前っていうのは、全部同じ。善も悪も、美しいも醜いも、全部同じレベルにあるわけでしょ。そこに光と影(陰陽)が入ってきて、例えば、正しいとか間違ってるとか、人間が差別するようになった…。だから、これも、見る人によれば天使にも悪魔にも見える。初めから固定概念をつけて、人を説得することはしたくない。(自分に対しても)全部同じレベルで自分の中にあると思いたいのかもしれない。だから、何のためかって尋ねられたら、自己確認するためにやってるって答えてる。そもそも人に見せるためにやってるというより、自分が今どんな状況にいるのか確認するためにやってるから。人に見せる目的で作ると、どうしてもあざとくなるし」。

野波さん写真130歳半ばまで人に作品を見られるのが嫌だった、と話す野波さん。自分の中を見られるような気がしたそうだ。でも、いざ人に見せてみると、その考えは変わった。「人はそこまで見てなかってん。見てないというよりは、見ている位置が違ってた。俺も自己確認のために自分の作品を見るけど、(他の)見る人にとっても自己確認になってたりするわけやし」。

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プロフィール

Studio No・ah:フォトグラファー/アーティスト

野波浩(のなみ・ひろし)

1954年、島根生まれ。大阪写真専門学校卒業後、株式会社新光美術写真部のカメラマンに。1979年に独立し、Studio No・ahを設立。
CG処理などは行わず、すべて手作業により生み出される作品の数々は、濃密かつ幻想的。唯一無二の世界観が漂う。代表作に、1993年 写真集『ABYSS』、1995年 写真集『EUREKA』、1997年『CHAOS』、2004年 写真集『MOUSA』。芸能・音楽業界にも多くのファンをもち、1995年 LUNA SEA写真集『ZOE』、1999年 江角マキコ写真集『E-MODE』を出版。現在、いのうえ歌舞伎(劇団☆新感線)、 宝塚歌劇団等の写真を手掛けるなど、多方面で活躍。日本のみならず、アメリカ、ベルギー等、海外からも高い評価を受けている。

野波浩オフィシャルウェブサイト

作品

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