トップページ / Clippin museum 卒・展 / レポート一覧 / 大手前大学
大阪から国道2号線で夙川を越え、北へ曲がりJR踏切前の道沿い、右に大手前大学、左に美術館が現れる。美術館の名前は大手前アートセンター。建築好きの人にはわかるだろうその佇まいは、安藤忠雄氏設計の建築で、まさかこれが大学所有の美術館だとは、はじめて訪れた人は思わないのではないだろうか。大手前大学はいわゆる美大ではなく、総合文化学部、現代社会学部、メディア・芸術学部からなる文系の総合大学だ。もちろん美術系の学生は4年間デザインやそれぞれの芸術コースを専攻する。夙川という立地と安藤建築の美術館もあるという環境で学べる美学生たちがうらやましい。
作品はデザイン・造形美術系、建築・インテリア系、マンガ・アニメーション系、メディア・表現系と多彩な専攻コースに見られるように幅広い。しかし作品数はそれほど多くないので学年あたりの編成は意外と少人数制なのだろうか。

館内に入るとエントランスには油絵作品が展示され、奥からは何か銃撃戦のような音が聞こえて来る。1F奥の展示はアニメーション・映像作品の展示だった。こんなに豪快に音を出せるのも自前の美術館だからだろう。長い階段を下りた先の地下がメインのフロア。地下でありながら外光をふんだんに採り入れる展示室が並び、ほどよく明るく静かな空間だ。そこにはデザイン、絵画、イラストレーション、染織織物、立体造形などの作品が展示されていた。着物が展示されているすぐ側にハーレーダビッドソンのような立体作品が置かれていたりするのが卒業作品展らしいところ。
例の階段で1Fにもどったらぜひ一度外に出て長いスロープを通って2Fの展示室に行ってもらいたい。自然の中を歩く感覚を楽しむ安藤建築の思想が伺える順路だ。2Fでは建築の制作展示がなされていた。自然や古い建造物を再生し活かそうというテーマがおもしろかった。ときおり年配の方が手ぶらでふらっとやって来たりしていた。近くの住人たちも何か展示があって、ここへ来る機会があることを楽しみにしているのであろう。学生たちにとってみれば決して来館者は多くない。大阪や神戸の美術館に比べれば、まさしく「穴場」である。それだけに観る者と作品の間に距離の近さを感じることができる「自分たちの作品展」だと思った。
Text & Photo : Koji Yamamoto