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京都市芸の卒業制作展もまた京都市立美術館である。私が受験生の頃には予備校にこの「京芸」(当時はそう呼んだ)を目指して何浪もしている「先輩」がいた。そういった難関を乗り越えた学生たちの作品はどんなだろうと純粋に興味を持って美術館に向かった。美術館に入った時に卒展であることを強く感じさせるのが絵の具のニオイ。その新鮮さが冷ややかに熱気を発しているように思える。歴史的絵画や全国で公開される著名な作品展ではこういった「最近描き上がりました」という空気は発散されていない。
京都市芸の作品展は正確には卒展ではなく美術学部4学科、12専攻の4学年と大学院修士課程の全学生が出展する作品展。その数はやはり相当なもので京都市立美術館本館だけでなく別館も使い、また学内展示などもあっての大々的なものだった。あいにく学内展示までは足を運べなかった。美術館に詰められていた先生方はとってもお忙しそうにしておられた。理由はこの展示会が発表だけでなく重要な授業の一環でもあるからだろう。館内を観覧をしているとあちこちで学生たちが作品を取り囲み、発表会や批評などが行われていて美術館がそのまま教室になっているようでおもしろい。こっそり近づいて先生の評価などを聞いてみたいと思ったが、かなり近づかないと聞けなかったので遠巻きに見ていた。

作品は専攻が多いうえに学年も全員参加なのでとても幅広い作風を見ることができた。コンセプトというのが正しいかどうか分からないが、何か伝えようとメッセージ性のある物が多いように思えた。「モノクロ映像を掛け軸のように壁に掛ける」という作品を学内展示で披露している学生さんに出会い、「なぜ映像か」と問うと、「ただそれが自分にとって一番自然な表現方法でした」との回答に、自分が愚問をした気になったりした。また工芸科の中には漆工専攻や大学院になると保存修復専攻などもあり京都らしさ、伝統美術を本気で守ろうとしている学風が見える。なにせ開学が1880年(明治13年)というから学校自体が伝統がある。そういった伝統があるところに、新しいものを産み出そうとする学生の前衛的な作品があったりすると、その対比がおもしろい。
このようなWebマガジンで卒展を紹介するという企画を担当させてもらったおかげで、こんな感想を書いているが、正直言って自分も学生時代にもどって卒業制作を作り直したいと思った。学生さんたちのモノ作りに向き合う真摯な姿勢に感心したり、「もっと頑張れ」と心のなかで勝手に言ったり、やはりこれがタダで見れるのはおもしろいと思った。作品紹介は残念ながら学生さんたちの了承を得る時間がなく3点だけ。来年はぜひご自身の目で観覧を。
Text & Photo : Koji Yamamoto