ことばのアーティストと天性の写真家が出会ったから出来た作品。
Vol.02に登場のことばのアーティスト、村上美香さんが写真家の西真智子さんと本を出した。柴犬の「まめ」を主人公にした「犬」と「旅」をテーマにした写真詩集だという。なんとかわいい題材を選んだのかと、届いた校正刷りのページを開いたらいっきに引き込まれた。エリック・サティの曲の作詞家ヴィンセント・イスパの詩の引用から始まる本書は、「愛」と「生きること」と「やさしさ」に満ち、心をわしづかみにすることばと写真で語りかける。
この本のことをもっと聞きたいと思い、村上さんとポラロイドでのみ作品を撮り続ける西さんにミナミは宗右衛門町のカフェで会うことになった。嬉しいことに主人公の柴犬「まめ」も一緒に来てくれた!
そもそもこの本が誕生するためには村上さんと西さん二人の出会いが必要不可欠。その縁は、西さんとアートディレクター・絵師の東學さんが、大阪ミナミのバーで知り合ったことに始まる。東さんは、西さんのポラロイド作品を見てその類まれなセンスに惚れ込み、「美香ちゃんも絶対、好きやと思うで」・・・と、村上さんに引き合わせた。二人は出会った時から、「大事にしたいものが似ているかも」と感じ合う。また「互いの作品のすき間で、そっと肩を寄せ合える感じ」に、思えた。そのすき間はそのままでも間違いなく二人の作品の「良さ」なのだけれど、そのすき間に入る絵や、ことばが何だったのかを見せられた時の嬉しさは、この本のページをめくればきっと皆が共有できるだろう。

犬を題材にした本の企画を持ちかけられた時に、アートディレクターである東さんは「写真は真智子に撮ってもらうことしか考えられなかった」と言う。西さんはポラロイドの魅力について「事実をそのまま伝えるのは、きっと私でなくてもいい訳で。たとえば、『このときこんなにこの人のこと好きだったんだなーっ』という感覚が残せたらうれしい。ポラロイドはずっと自分の手のひらにある大切なものとして置いておきたい」という。それは西さんの作品の魅力そのもの。

『ぼくらは簡単なことばで出来ている』 より
2008年の冬、大阪ではめずらしい大雪が降った。その日の朝早く、ミナミの路地裏に白い絨毯が敷かれたように新雪がつもったのを見て、村上さんは西さんに電話をした。「雪だね〜」。「うん、雪だね〜。朝から、たくさん雪の写真を撮ったよ」「・・・そうだといいなと思っていた」。何もいわなくても空でつながっている。この感覚があるから、いっしょにひとつの作品に取り組めるのだろう。その雪の日、村上さんは黒門市場にうずくまっていた柴犬「まめ」と出会う。以来、村上さんは小さな「まめ」を育て、西さんと二人で「まめ」との毎日や、時々の思い出を切り取る日々を送った。
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インフォメーション
『ぼくらは簡単なことばで出来ている』〜旅する柴犬まめのポラロイド写真詩集〜

写真:西真智子 ことば:村上美香
編集:藤本真佐夫
アートディレクション:東學
発行:PARCO出版 2008年10月初旬刊行予定
ISBN978-4-89194-787-3 C0072
公式サイト http://188.jp/books/mame
プロフィール
村上美香
Vol.02に登場したコピーライター、ことばのアーティスト。株式会社一八八のクリエイティブ ディレクターでもある。東學氏とのコラボレート作品を中心に、海や、ふるさとや、女をテーマにした「ことば」の作品を形を持たないアートとして発信し続けている。
西真智子
好きな物しか撮らない、ポラロイド写真専門のカメラマン。じつはスタイリストでもある。作品の絵作りのための小物のコーディネートのうまさもあり、対象となるもの、人物の魅力を引き出すチカラが持ち味。今後も村上さんとの新たなコラボレーションを構想中。
東學
記念すべきVol.01登場の絵師であり、株式会社一八八のアートディレクターである東さん。作務衣に下駄がトレードマークで、現代の浮世絵師として地位を確立。演劇の宣伝美術家としての分野での活躍がめざましい。