知らんもんは知らん。間違ぉとるもんは間違ぉとる。なんてシンプルでわかりやすいんやろか
1.哲学とはいつ頃出会い、何がきっかけで興味を持たれたのですか?
大学に入った頃、ビックリハウスとか宝島とかサブカル系の雑誌が好きでよく読んでたんですが、別冊宝島で「わかりたいあなたのための現代思想入門」みたいな本を見つけて入門してみようと思いましたが…赤線引きながら丁寧に読んだつもりなんですが、私の理解の限度を超えてました。部分部分は理解できるんですが、記号論であるとか構造主義であるとか言われても、その定義がよぉわからん…音楽のジャンルわけみたいなもんやと思うんですが、どこが境界で何がまたがっててとか…高校の倫社の授業で習った単語は出てくるんですが、そのピースが全体のどこにあてはまるのか…なんか悔しくて、当時話題に上がってた本をいろいろ読みました。浅田彰の『構造と力』や中沢新一の『チベットのモーツァルト』とか。でも、わかるようなわからんような…
それで、現代思想入門の前に、現代じゃない思想に入門しないとあかん思って、思想の体系をさかのぼってみたらソクラテスに行き着くんですね。知らんもんは知らん。間違ぉとるもんは間違ぉとる。なんてシンプルでわかりやすいんやろかと…これが西洋思想のスタート地点なんやと思いました。東洋思想のスタート地点は仏教やと思うんですが、釈迦とソクラテスの生きていた時代が重なるのは偶然なんでしょうかね。
2.「ソクラテスの弁明」の全文の翻訳なのでしょうか?それとも抜粋ですか?
「ソクラテスの弁明」全文の翻訳と、それに続く話の「クリトン」全文の翻訳です。
弁明はソクラテスが裁判にかけられ、そこでの模様を綴ったお話、クリトンは裁判後の牢獄での幼馴染のクリトンとの会話です。ほんまは、さらに毒杯をあおる当日の弟子たちとのやりとりを綴った「パイドン」まで含めてストーリー的には完結するんでしょうが、分量的に多いし、プラトンの著作の時期が離れてるんで別物として扱う方がええやろってことで一緒にはしませんでした。機会があれば「パイドン」も訳してみたいと思います。内容的には「魂の不死について」というサブタイトルがついているように、輪廻転生について述べてます。後のキリスト教が否定してるため、一般的には知られてませんが、東洋であれ西洋であれ、根源的には輪廻転生という考え方が人間の直感的な確信を得てるんやなぁって思います。
3.はじめての翻訳としてこの哲学書を選ばれた理由はなんですか?
この企画自体、もともとパルコ出版の編集の方からのオファーなので、私が選んだ訳ではないんですが、前述のように、西洋思想のスタート地点としてふさわしい本やと思います。哲学書の中では毛色の変わったもんになるやろうから、哲学に興味なかった人にも手に取ってもらえるかも知れない。そんな人でも予備知識なしに読んでもらえるものを考えた結果、ソクラテスがいちばん適してるんやないかなと…それに加えて、会話っちゅうか台詞だけで話が展開していくんで、落語に近いとも思いますし、お芝居やテレビドラマを観る感覚で読んでもらえるかなとも思いました。
インフォメーション
『ぼくらは簡単なことばで出来ている』〜旅する柴犬まめのポラロイド写真詩集〜

書名 : ソクラテスの弁明 関西弁訳
著 : プラトン
訳 : 北口 裕康
仕様 : B6判変型・上製
頁数 : 160ページ
価格 : 1,260円(税込)
発行 : 2009年5月15日
出版 : PARCO出版
公式サイト http://188.jp/books/apology/
プロフィール
北口裕康
1963年、大阪ミナミの料亭「菊水」に誕生。アメ村にあった大阪南中学で思春期を過ごし、高津高校にて青春期を謳歌。大阪大学中退。現在は、グラフィックデザイナー東學や、コピーライター村上美香を抱えるシステム&デザインカンパニー株式会社一八八(いちはちはち)の社長。世の中に「おたく」というコトバが誕生する前からの元祖「おたく」。そのマニアっぷりは、オーディオ、ドラム、着物、漫画、アニメ、鉄道、と果てしない。さらに昨年からは、188にやってきた「柴犬まめ」と「黒柴みつ」のおかげですっかり「柴犬好き」にも変貌。ミナミの町に妻と犬と、飄々と暮らしている。